PROMETHEUS:THE DISCIPLINE OF FIRE AND DEMISE
decapitated[1]

ポーランドが誇るデスメタルバンドDecapitatedの4thアルバム。

前作は1st〜2ndまでの独自の中近東メロディラインを廃し、
よりブルータルかつメカニカルな印象を重視した作風であったが、
本作4thはそれをさらに延長したものとなっている。

無機質で機械的に複雑なヘヴィリフ、超高速のリードはさらに強化。
新機軸としてMESHUGGARを思わせるリズムトリックが効果的に採り入れられた。
また2ndのような不気味なコードワークも随所で見られ、良い味付けになっている。

サウンドプロダクションも全アルバムの中で最も切れ味が鋭い。
特にベースの金属的な音とドラムのウォームなアタックのコンビネーションが絶妙。
いま改めて、じっくり腰を据えて聴いても、文句のつけようがない名盤だと思う。
ポリッシュデスメタルの最高峰といってもいい。



今作発表後、ツアーバス事故によってDrのVitekが23歳の若さでこの世を去った。
本作が図らずも彼の遺作となってしまった。

色々な思いがあるが、未だに言葉にまとまらない。

Rest In Peace。
 

deathspellll.jpg

フレンチブラックの重鎮DEATHSPELL OMEGA、2007年発の4thアルバム。
Si Monvmentvm Reqvires, Circumsiceに続く“三部作”の第二部。
6曲46分、暴虐な闇の恍惚が味わえる快作となった。

路線としてはMCDのKenoseのブルータリティをさらに推し進めたスタイル。
もはや『ブルータルブラック』といってしまっても過言ではない。
多くでBEHEMOTHやBELPHEGORが例えにでているが、確かにその手の音に近い。
個人的にはGEHENNAのWwの質感にも近しいところがあると感じた。

しかし同時に全パートが部品単位で複雑になり、プログレッシブな部分が増大した。
ギターは部品単位で複雑化し、全編で怪奇なリフを流麗に弾き倒している。
特に5曲目はプログレッシブ/ブルータル/メロディアス/カオティックが混在する
異様な構築がなされている。曲としての難解さは過去最高だと断言できる。
ドラムは間を活かしながらも異様なフレージングと手数を見せており、
本作が放つ強大な威圧感の演出に一役買っている。

ちなみに音質はKENOSEとほぼ同質で、重低音の強いブルータルな、
それでいてブラックメタルの持つ宗教的なテクスチャーを残したプロダクション。

今回DsO特有の荘厳なメロディは、ブルータルなリフやミドルテンポの合間に
瞬間的に光が射すような用法が大部分になっている。
ただし5曲目のみ、KenoseのIIIを超える壮大な叙情的パートが聴ける。


それにしても、一般的にブラックメタルとして知られる音からは随分離れてしまった。
明確なトレモロリフと呼ばれるものはもはや存在しなくなり、
リズム面でもテクニカル系のブルータルデスがカオティックのそれと近い。
この辺りは前作Si Monvmentvm〜のファンでも好みが真っ二つに割れることと思う。


しかし、それでもなお『ブラックメタル』としかいえないサウンドがここにはある。
必携の一枚。

  

withresistance.jpg

カオティックハードコアバンドWITH RESISTANCEの1st。2003年発。
コードワークにはエモ要素が見受けられ、曲展開は最近のメタルコア勢に近い。

正直に言えばエモ系は苦手――というよりむしろ嫌いなのだが、
このバンドはその要素が濃厚にありながらも、なかなか悪くない。
全体的な作風としては『わずかに翳りのある希望』という感覚。

あまりこの手のスタイルに詳しくないので某レコードショップより引用するが、
SHAI HULUD、HOPESFALL、POISON THE WELL、TAKENなどに似た要素があるらしい。
ニュースクール、とかいうやつなのだろうか。


前述したとおり、カオティックなリフとエモ/メタルリフが同居し、
目まぐるしく変わる曲展開――という、まぁ『ありがちなタイプ』である。
だが、所々で高速で突っ込んでくる残虐リフの切れ味が美味しい。
カオティックとメタル要素を併せ持った、かなり重く美しいリフをぶち込んでくる。
この洒落たコードワークからカオティックな高速ヘヴィリフへのスイッチが
あわただしいドラムパターンの上を駆け抜けるのはなかなか爽快感があっていい。
また、エモによくあるクリーンヴォーカルが全く入らないのも良い判断だと思う。
ちなみにカオティック要素があるものの構成はそれほど複雑ではない。
ただし高速リフでは難解なこともさらりとやってのけており、楽しませてくれる。

難点を上げれば、メロディとしてエモ要素が若干強く出すぎているのが勿体無い。
あまりにも王道すぎてメロディにあまり個性を感じないのが惜しすぎる。
メタリックな高速リフは個性があるので、コードワークも凝って欲しかった。
加えて、いかんせんランニングタイムが短すぎた。一番長い曲で3:37しかない。
1〜2曲、もう少し尺の長い曲があっても良かった気がする。


難点もあるが、今後なかなかに有望株のバンドではないかと思う。
この手の買い物としてはSUMMER'S ENDに続いて、良い発掘をした。


CRIONICSneuthrone.jpg

ポーランド産シンフォニックブラックCRIONICSの3rdフルレンス。

1stはあまりにもEmperor2ndのフォロワーのシンフォニックブラック、
2ndではEmperorの3rd〜4thを匂わせつつも独自性がでてきた名盤だったが、
今作3rdはやたらサイバー&ブルータルなサウンドになっていて驚いた。
EmperorからZyklonになった、というと分かりやすいかも……。

いかにもブラックメタルらしいスタイルだった彼らが好きだっただけに、
最初はちょっとこの変化には戸惑ってしまったが、通して聴いたらすぐに気に入った。
それだけハイクオリティということなんだろう。

Voはブラックスタイルではなく、まるで同郷VaderのPeterのような低音咆哮。
ギターはポリッシュブルータルブラック調の太く歪んだマッシヴな音で、
そこにZyklonが使っていたようなサイバー調のシンセが絡むスタイル。
ただし各パートの組み合わせのパターンに工夫を凝らしており、センスのよさが伺える。

演奏力も相変わらず高く、聴いていると幸せな気分になれるアルバム。


  

melechesh_emissaries.jpg

イスラエル出身の中近東風ブルータルブラックMalecheshの4thフルレンス。

前作まではMardukのようなジャリジャリしつつも芯のあるサウンドだったが、
本作はDark Funeralのような強く歪んだブリザードギターを主軸として
NileやBehemothのような中近東リフが入ったようなスタイルになった。
リズムパターンもエジプトの呪術的な雰囲気を強調していて面白い。
ともすれば消化不良になりがちな数々の新要素を上手くまとめた手腕は見事。

また、サウンドプロダクションが2ndから大幅に向上しており、
旧作で感じられたチープさはもはや微塵も感じさせない出来になっている。

BEHEMOTHのようなブルータル要素を好むブラックリスナー向けではあるが、
それに限らずもっと認知されてもいいクオリティのアルバムだと思う。

  


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